グランプリ / First Prize
ホンマタカシ選出作品
Shiori Akiba
Go GIRL
ステートメント
女性の毛。私は普段ヨーロッパにいるので日本に帰ってきた時に見た脱毛の異常なまでの広告に本当にびっくりした。毛を処理する事は強制させられているようなそんな恐怖感も感じた。誰の、何のために綺麗になりたいのか、大事な何かがものすごく欠けているように感じた。それに疑問を持たない女子達に危機感を感じた。私と11歳離れた日本に住んでいる妹は本当に真逆。思春期なはずなのに全然気にしない。なんなら男は知らないのかもしれないが女は顎髭だって生える。男性が勝手に理想づけている女子なんてただの空想だ。私はこんな妹が大好きで、誰よりもかっこいい女性だと思っている。もっと自分らしいかっこいい女性が日本にも増えますように。
審査員コメント ホンマタカシ
ポジティブな政治性が、あって、すごくいいと思います。
受賞者プロフィール
Shiori Akiba
北海道出身、2016年よりパリで写真を学び、2018年よりロンドンに基盤を移し活動している。
ファインアートとファッションを軸に、人間の身体像のあり方、ジェンダー意識に疑問を投げかける作品を数多く発表している。
関連リンク
Webサイト:www.shioriakiba.com
Instagram:@shiori_akiba
片山真理選出作品
齊藤幸子
Take Root Here
ステートメント
埼玉県川口市には約2000人規模のクルド人コミュニティが存在する。その多くがトルコからの迫害を逃れてきた難民申請者だが、難民認定されたクルド人は今まで1人もいない。日本の難民認定率は諸外国に比べ非常に低い。日本の入管法に振り回されながらも、クルド人たちはすでに川口の地に根づき始めている。クルド人男性の多くは日本の解体現場で働き家族を支える。幼少期に来日した1.5世の若者たちは、日本で育ちながらも不安定な在留資格のため、希望する進学や就職への壁は高い。
審査員コメント 片山真理
ずっと続けて欲しいと思い選出させていただきました。
時間や被写体の方々との関係性、姿勢が丁寧に紡がれているなぁと感じられ、綺麗だなって思いました。
受賞者プロフィール
齊藤幸子 Sachiko Saito
1985年生まれ。日本大学芸術学部写真学科卒業。東京都を拠点に活動中。個人が社会的背景によってどのように条件づけられるかについて興味を持ち、作品を制作する。2020年「第22回1_WALL写真展」ファイナリスト。
関連リンク
Webサイト:sachikosaito.com
Instagram:@komsms
Twitter:@sachikomsms
アレック・ソス選出作品
永田風薫
New realism
ステートメント
本作は、複数の写真を合成し、対象を一つの3Dモデルデータとして起こすフォトグラメトリを用いて撮影された“新しいポートレイト作品”である。複数の視点を合成することで立体的かつ複数の視点から対象を観察することが可能なフォトグラメトリは、写真に替わる新たな記録媒体として、地理測量や建築物の記録などで利用され始めている。写真技術の歴史は透明性の歴史として要約することができる。フォトグラメトリからは複数の視点を合成することでより高い次元での客観性を担保しようとする人類のあくなき欲望が読み取ることができる。その上で、こうした手続きの中で起きたエラーは記録物と対象の隔たりをより明らかにしている。
審査員コメント アレック・ソス
私はかなり伝統的なポートレイトが好きです。テクノロジーにはポートレイトの邪魔をしてほしくないと思っているので、応募作品の中で一番気に入ったポートレイトに3Dフォトグラメトリーが使われていたのは自分でも意外でした。このテクノロジーがイメージの要になっているにも関わらず、永田さんの作品は率直で、力強い感情が伝わってきます。
受賞者プロフィール
永田風薫 Fuka Nagata
1998年静岡県浜松市生まれ。インターネット通信や都市などの媒介物を通しての人間間、人間と機器との相互コミュニケーションに関心を持ち、それらのを通してやりとりされる情報や信号、過去や遠隔地のイメージ表象と人間存在の関係性をメタ構造として内包する作品を制作している。
関連リンク
Instagram:@yawn_taro
Twitter:@yantaro_yanyan
ヘレン・ファン・ミーネ選出作品
卞敏
いまここ
ステートメント
留学生の私たちは今日本にいますが、未来はどこにあるのか心の中に迷いがあります。
審査員コメント ヘレン・ファン・ミーネ
写真賞の審査員をする時は、その写真家が良いイメージを作る能力以上の何かを持っているかどうかを見極めるように努めています。他のイメージが明らかに同じクオリティに達していないとか、その写真家だけの写真の“言語”が見えてこない場合は、単なるラッキーショットの可能性があります。
その写真家が、少なくとも他のイメージにおいて、自分の作品の構図、光線、フレーミングについて理解しているかどうかを見極めることを私は重視しています。他の写真のコンセプトがシークエンスあるいは物語の流れや言語と一致しているかどうかも重要です。1つのシリーズの中の1~2枚が他より強いイメージだということはありますが、その写真家が自分の写真の言語、または過程を理解していることが実感できなくてはいけません。
私が卞敏をグランプリに選んだ理由は、良いイメージ以上の何かがあるからです。カラーのポートレイト2点がとても良いと思いました。誰かのポートレイトを撮る時、実際には何の関係もない写真作品の鑑賞者にも、被写体となんらかの“つながり”を感じてもらいたいと思います。光や構図の使い方、写真の中の人物の本質を写真家がどう捉えているかといったことを通じて、写真自体が何かを伝えられなければなりません。
赤いドレスを着て真珠のネックレスを付けた若い女性のポートレイトは、この資質を備えていると思いました。私自身はこの写真が表現している感情になじみはありませんが、この写真と自分の間のつながりを感じます。この作品は、ミステリアスな雰囲気を放ち、光が美しく、興味をかき立てます。ポートレイトの重要な価値はこうした資質にこそあると私は思います。この写真は、それがどういうことかを分かっています。その他の写真にも惹かれました。今後もぶれることなく独自の表現に忠実でいてほしいと思います。
受賞者プロフィール
卞敏 Bian Min
中国出身。2021年多摩美術大学美術研究科卒。
関連リンク
Instagram:@bianbiandezuiai
奥山由之選出作品
鬼頭奈津子
21才、冬
ステートメント
冬、ずっと撮り続けている彼と白鳥がいる景色を見てみたくなった。二人で初めて見る白鳥に感動した。日が昇り始めた冬の朝の澄んだ空気と気嵐、寒くて鼻も赤くなりファインダーも曇った。そこに彼がいる景色を見ることができてただただ嬉しかった。
審査員コメント 奥山由之
澄んだ空気の匂い、頬に触れる風の冷たさ、草木を掻き分け歩くシャリシャリとした音、そんな情景がこの1枚から想起されて、やっぱり、瞬間であるが故の刹那さが、写真表現の魅力の1つであると、強く実感できる。
想像の余白が絶妙で、撮影者である彼女について、そして彼について、この場所について、思わず考えてしまう。
新しさこそないけれど、正直で、真っ直ぐで、シンプルな写真行為が、逆に強い個性に感じ取れました。
受賞者プロフィール
鬼頭奈津子 Natsuko Kito
1992年、京都生まれ。
奈良教育大学美術教育専修にて日本画を専攻。
2019年、IMA nextコンテスト、ポートレート部門にてグランプリ受賞。
現在は東京を拠点とし、映画のスチールを中心に様々な媒体で活動中。
関連リンク
Webサイト:kitonatsuko.com
Webサイト:Gemini Films
Instagram:@ktntk02
入賞者 / Shortlist
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柴田佳代子
a girlREAD MORE
柴田佳代子
a girl自分が子どもの頃は、もっと破茶滅茶で楽しかった。
人に会うことを制限される、マスク着用、話すことも制限される、色んな制約ある生活の中で、現代の子ども達は、どこか寂しさを内包しながらも強く生きていると思う。強くしなやかに生きてほしいとも思う。 -
Joan Zhang
みかんの味READ MORE
Joan Zhang
みかんの味被写体は全て私と同じ年齢の友達だ。カメラは私の鏡になったようだ。友達は私の鏡面反射となった。他人は自分の鏡面反射となり、私たちは他人を見つめ、同時に他人からも見つめられている。
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佐藤泰輔
路上ライフREAD MORE
佐藤泰輔
路上ライフホームレスと呼ばれる存在。人々にとってそれはある種の嫌悪を抱く概念として意識に蓋をし、自分たちの社会から疎外している。私は、いつか自分もホームレスになるかもしれないと思うことがある。この社会で生きていく孤独に打ちのめされそうな時に。彼らの日常に迫ってみると、それは現在の名古屋において、住所がないだけで私たちと同じである。空き缶や捨てられたものを集めて売り、そのためにカレンダーも時計も必須である。ただ彼らの何かが一般社会と馴染まなかった。彼らはライフスタイルとして今そこにいる。その生活と人間性を私は写真に撮っている。
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小阪吾郎
千景READ MORE
小阪吾郎
千景このシリーズは、2017年9月から、毎日仕事へ送り出してくれる妻と娘を、645フォーマットで玄関越しに撮影し、フィルム1本分の16枚をコンタクトシートの様に並べた作品となっている。今回は、2020年からの写真を抜粋。
これらの写真は、娘の成長記録だけでなく、家族の記録にもなっている。なんの変哲も無い、ある意味古い体質の家族写真である。
我が家は、奇しくも2020年2月より、新しい環境での生活が始まっていた。その後、世界は一変したが、良くも悪くも生活に大きな変化は無い。
作品のタイトルは、娘の名前からとっている。幾千の景色が、多くの気づきを与えてくれることを、私は望んでいる。 -
原野周也
Girls...READ MORE
原野周也
Girls...私の思うポートレイトとは、その人の自然体な表情や姿、また仕草などを普段の日常から切り取ったものだと思っています。コンセプトは『日常を切り取った自然体な姿に少しのアクセントを』です。被写体をお願いした方のほとんどが私の知人で、自分というフィルターから見て、その人の良さが出ていたり魅力的な表情だなと思った瞬間にシャッターを切りました。そして少しアクセントを加えたつもりです。個人的にはどの写真もその人らしさのある作品になったと思っています。
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眞鍋アンナ
ひつような呼吸READ MORE
眞鍋アンナ
ひつような呼吸私は「あいのこ」「ハーフ」「混血児」です。私も彼女も、この国で呼吸をし生きてきた人間です。血の中に混じりを感じていて、それが表面に現れていることにより受けた傷は計り知れませんが、自分が何者か、わからずとも、この国で生きる資格があるはずなのです。鏡に映る自分が、「日本で生きている私」であること、この国で呼吸がどんなに苦しくても、それさえも美しく、プライドを保つ理由があること、そんなテーマで撮りました。いつかこのマスクを外し、鏡を気にせずとも良い時代になりますように。この美しい国を美しい自分で歩けますように。
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Emma Anna-Claire Suga
LOVELESS T.T.READ MORE
Emma Anna-Claire Suga
LOVELESS T.T.パンデミック中に初めてフランスへ引っ越し、二度のロックダウンを経験し、2021年のロックダウン解除のタイミングから 「日本人セルフポートレートアーティスト」としてフランスで4度の展示に参加。
情報量が多い毎日の中で「わたし」という人間が、毎日起こる出来事や人々の興味・関心、そしてわたしたちの心理や挙動についてどう感じ、どう反応するのか、セルフポートレートという手法を使い描き、世界へメッセージとして配信しています。 -
宮崎純一
N夫妻READ MORE
宮崎純一
N夫妻私は古い日本家屋を改装した写真館を営んでいます。そこは自然の薄明かり。陰影と静謐に身を置き対峙する所。一つの肖像が浮かびあがる、写真のための時間を大切にしています。N夫妻は写真館を訪れた一組のお客様です。ご夫妻は結婚してすぐに奥様が乳がんと診断されました。抗がん剤治療中、サポートを続けていたご主人が写真を提案。奥様は「うん、撮ってもらおう、私もそう思ってた」と答えたそうです。撮影の日、お二人は互いが互いを包み合うようなあたたかな様子でいました。私はお二人が達した「今」に純粋さを感じました。お二人の気持ちにシンクロしてシャッターを切るうちにお二人のセルフポートレイトのような写真が生まれました。
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堀越照雄
FOLLOW-UPREAD MORE
堀越照雄
FOLLOW-UP家という空間は何よりも人をリラックスさせる。
彼は、スケートボーダー。父もスケーターなのでそれに影響されたのかフィルムを巻き上げてる間にウィールがついていないスケボーで遊び始めた。いつも父とそうやって遊んでいるのだろう。家族は見慣れた瞬間かもしれないがたまにしか会わない僕にはとても新鮮で楽しい。その瞬間を撮りたい。 -
宇賀地尚子
Powerful Colorful AgedREAD MORE
宇賀地尚子
Powerful Colorful Agedいつもおしゃれで人生を楽しんでいる友人を撮影しました。
やりたいことにチャレンジして、いつも生き生きとしている彼の姿を撮影することで、年をとったらこうあるべきという固定概念を吹き飛ばしたいと思いました。 -
飯塚純
usREAD MORE
飯塚純
us風景の真ん中にある“現代”のポートレイト。現実とバーチャルリアリティーの2つの世界で生きる。透明ではなく、半透明。人のかたちだけが背後の風景に同化されるイメージをAIで生成した。
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梶原篤浩
HAPPY DREAMREAD MORE
梶原篤浩
HAPPY DREAM西日本を中心に公演を行ってるサーカス団のメンバーです。気をてらわず自然に自然にポートレイト。
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片上久也
Father of dementiaREAD MORE
片上久也
Father of dementiaある日、父親が認知症になった。私はそれを聞いた時、特に何も感じなかった。それが私と父の関係だ。施設に預けられ面会に行くが、話すことも呆けているので会話にならず、暇なので父の写真を撮ってみる。することもないので普通にただひたすら父の写真を撮っている。記憶をなくした父を記録する。
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浅野大
Ego DissolutionREAD MORE
浅野大
Ego Dissolution今回私が提出した作品は5枚の、リリースケーブルと鏡を使用したセルフポートレイトだ。リリースケーブルで撮影した写真では見えなかった自分自身の姿を写し、鏡を使用した写真では自分というものと向き合っている。
Covid-19によって変革していく社会の中で、自分の内側と向き合う時間が圧倒的に増えた。その中で、これまで周りの評価や自分ではない誰かにとっての成功を大事にしてきた自分というものに気づくことができたように感じる。その自分を認め私という存在と向き合っていく課程をこれらのセルフポートレイトによって写した。 -
うつゆみこ
safe portraitREAD MORE
うつゆみこ
safe portrait私は今、夫と離婚の裁判中です。夫の出した条件は一つ、子どもの写真を今後一切公開しないことを守れば親権は渡すし離婚もしてやると言います。私は写真を17歳の時から25年間ずっと撮り続け、また子供を10年育てており、一番身近で愛しい被写体を撮らずにはおれません。子どもが可愛くて仕方がないので、子供と面白可笑しい写真を撮って、見せびらかしたいと考えています。子ども達も私との撮影をとても楽しんでいます。世の中の風潮として、子供の写真を公開する危険性について述べられることは多いですが、楽しみについて語られる事は少なく感じます。私はどうにかその狭間で、親の責任を果たせる様な安全な作品を発表したいと考えています。
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小山曉
かっこいいるんぺんREAD MORE
小山曉
かっこいいるんぺんブツブツと独り言を言いながら1日の大半を寝て過ごすババァの名前はスリ、80歳。(自称)素性はよく分からないが東京近郊のガード下に住むるんぺん、いわゆる、ホームレスだ。しかしながら、見るものに強烈な印象を与える風貌と存在感になんとなく好奇心をそそられて、数年前から不定期にババァと僕の交流が始まった。毎日同じ風景を眺め煙草をふかし、鳩や雀に突かれたりしながらババァはある時僕にこう言った。「素晴らしい明日を」。
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玉川裕也
SEiREAD MORE
玉川裕也
SEi私の好きな人を撮りました。東京で一緒に過ごしてた中での写真です。
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mikya craft (赤い柔らかい)
身支度READ MORE
mikya craft (赤い柔らかい)
身支度ドレッサーも満足に持てない現代女性の部屋と住人を写した。身体の延長である持ち物、住居と持ち主を切り取りポートレイト作品として提出する。
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たかつじゅんや
素READ MORE
たかつじゅんや
素今の日本があるのは、私たちご先祖がいたからである。そんな先祖達も人間であり、食べ物を食べていかなければ、飢え死にしていた。そんな彼らを支えたのは農畜産業の生産者だと考える。
農畜産業はちょっとしたブームではあり、地産地消も叫ばれている。一方で就農者数は年々減っている。
何故か? それは裏も表もない「素の姿」が見えないからと私は考える。このため、私は生産者のフィールドにおいてコミュニケーションを図り、時折見せる「素の姿」を撮影した。 -
服部芽生
GOATREAD MORE
服部芽生
GOAT2020年。私たちの日常は、非日常になってしまった。そうした中、私と同じ名前を持ったヤギが出荷された。
「家畜」は英語で「Livestock」。日本語に訳すと「生きた在庫」。
私たちは彼らと同じ世界に生き、彼らに生かされている。彼らの日常は今まで通り続いていた。とても穏やかで、眩しかった。 -
見矢祟寿
さようならREAD MORE
見矢祟寿
さようなら被写体は当時高校3年生。卒業まであと3か月という時期。もう着ることのない制服姿を、今は復元されたためもうこのような荒涼とした姿では見ることができない多摩川河川敷で記録。
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伊藤大地
Ice Ice BabyREAD MORE
伊藤大地
Ice Ice Babyその日は6月にもかかわらず30度くらいの気温になっていた。私は東京の下町エリアに訪れていた。そこで一人のアイスを食べていた女性に出会した。青を基調としたファッションに合わせたかのような水色のアイス。彼女とそのアイスには調和と必然性を感じた。
そして、Vanilla Ice ではないのだがIce Ice Babyの名曲が聞こえた気がした。 -
伊藤大地
東京READ MORE
伊藤大地
東京ここ数年、東京五輪にむけて街は大きく変化している。これは、東京にいる人であればよくある風景であろう。
誰でも本気で働いてる姿はカッコ良い。柵の向こうにいる彼は輝いて見えた。 -
王露
Now the memories beginREAD MORE
王露
Now the memories begin中国と日本は数え切れないほどの繋がりがあり、90年代後半に中国人留学生が爆発的に増えて以来、現在に至るまで90万人以上の中国人が日本に移り住んでいます。私は日本に来て4年目を迎え、自分の考え方が段々日本人化していると自覚しています。長年日本に暮らす中国人たちの考え方も徐々に日本人化してきており、日本も中国の影響を受けているといえるでしょう。このような前提のもと、大判カメラを使い、複数の異なる人の家を中心に、中国人の生活を考察したいと思います。この作品は文化がどのように時間と空間を移動し、それが現在にどのように現れているか、場所が個人のアイデンティティにどのように作用するかを模索しています。
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長岡マイル
now/here -
荻野勤
微睡のひとり言READ MORE
荻野勤
微睡のひとり言生後100日。
得体の知れないウィルスや異常気象による災害、強行される4年に一度の世界大会…。そんな混沌とした世の中をこれからこの子は生きていかねばならないのだ。
小さな体に背負わされた使命は、重く過酷だ。この子の未来に想いを馳せると、成長の喜び以上にただただ幸せになってほしい、生き抜いてほしいという切実な願いが込み上げる。
それと同時に、こんな世の中をつくりだした僕たち大人のふがいなさに思わず情けなくなるのだ。
この子が大きくなり物事が少しわかるようになった時、世界はもう少し良い方向に変わっているだろうか。
先に生きる者として僕たちには今何ができるのだろうか。 -
末松グニエ文
波を織る人たち -The weavers-READ MORE
末松グニエ文
波を織る人たち -The weavers-『あなたが織った布を背景に、あなたの肖像を撮らせてください』
私は2009年より地元の地場産業"せんい産業"の職人や工場を撮り続けている。愛知県西部、岐阜県南部に広がる尾州(びしゅう)産地。2018年の国内アパレル市場での輸入浸透率は97.7%。
それでもこの国で高級服地を作り続けている人たちがいる。50年以上機(はた)と向き合う方々。創業100年の会社を継ぐと決めた4代目。高校中退で入社、10年後に工場長になった方など。今の日本に欠かせない、技能実習生の方々も撮らせてもらった。国内外有名ファッションブランドとの取引も多い産地だが、コロナで打撃を受けた。工場の数が減る中、彼らは毎日機を織っている。 -
原麻里子
step by stepREAD MORE
原麻里子
step by step新しい場所で
コロナ禍 夢は揺らぎ 現実に流され
さまよって
将来への不安と期待の狭間で
一歩一歩
明日を探り進む青年のポートレイト -
佐藤良
いつかREAD MORE
佐藤良
いつかポートレイトを撮りたいと思った時、一番最初に思い浮かんだ人がいた。妻の叔父である。その叔父さんは写真が好きで、四コマ漫画を写真でやってみたら面白いんじゃないのか、と話してくれた。
叔父さんは重度の喘息を患ってるので、体調が良い時しか撮影はできなかった。本をたくさん持っていて図書館で借りたシラーの本とプログラミング入門の本が机に置いてあったのを覚えている。会話の中で僕が山に行くのが好きだと話したら、帰り際にいつか登山しに行こうと言ってくれた。まだその約束は果たせてないが、そのいつかを僕はこっそり信じている。 -
真島一樹
あなたを思うREAD MORE
真島一樹
あなたを思う大学進学を機に上京し1年が経つ。コロナの影響で遠い故郷がさらに遠く感じた。春先に買ったばかりのフィルムカメラを持ち久しぶりに祖父母に会った。あと何回会えるのだろうと考えるとシャッターを切る手が止まらなかった。何回会えるだろうだなんてこれまで考えたこともなかった。慣れないフィルムカメラで独特な写り方をしてしまったが、孫の僕に向けてくれた表情がたまらなく好きだ。物理的な距離は変われど祖父母と僕の大切な距離感は昔と変わらなかった。
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久松陸
おちままREAD MORE
久松陸
おちまま僕は祖母のことをおちままと呼ぶ。
ろれつが回らない幼いころに、母が祖母の呼び名に教えてくれた「大きいママ」が言えずに「おちまま」と呼んだらしい。それ以来、祖母はおちまま。
ある日、写真を撮らせてほしいとお願いすると、化粧もしてないから見苦しいでしょう、と遠慮したが少しだけならと言ってくれた。それから何度か写真を撮った。
仏壇にお仏飯をあげること、マスクを洗って干すこと、たまごっちをすること。そんな風に今日も生きているというだけでうれしい。 -
刈馬健太
その刹那に、READ MORE
刈馬健太
その刹那に、刹那、一瞬、狭間、空間、時の音。
その物や、事の出来事の0.1ミリが心を踊らせる。君のことや隣の人や、恋人や。同じ時間時空の旅の中で記憶や過去の傷、それを乗り越えていけるような出来事。
彼達、彼女達は何を思うか。
限りある人生の0.1ミリの出来事がテーマ、コンセプトである。 -
Kris Lattimore
Tommy Jennings, wearing his handmade hakama and kimono, Portland, ORREAD MORE
Kris Lattimore
Tommy Jennings, wearing his handmade hakama and kimono, Portland, OR被写体のトミーは、この数年に何度か会ったことがある知人でとても優しい人です。私が「Portrait of Japan」について知ったのは、募集締め切りの12時間前でしたが、昔から興味がある歴史と人というテーマを掘り下げ、新しいことを学ぶ絶好の機会だと思いました。私は急いで何人もの友人にメッセージを送り、その夜にポートレイトを撮影させてくれる人を探しました。その数時間後にオファーを快諾してくれたトミーの家に向かい、1時間もかからないうちに4点のポートレイトを撮りました。袴と着物は彼の母親の手作りで、彼にとっては特別なものです。彼が私のために時間を割いて、彼の受け継いできたものに触れさせてくれたことを光栄に思います。
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山田星太郎
Sunrise songREAD MORE
山田星太郎
Sunrise song色々な感情が渦巻く場所に一瞬だけ訪れる、日の出の静かな時間。そのコントラストに惹かれ、朝の渋谷に通い始めました。今回のパンデミックの影響で、これからの街の役割は変わってしまうのだろうか? 少しづつ変わり始めている世界を記録しておきたいと思い制作しました。
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真央
Modern JapanREAD MORE
真央
Modern Japan日本には、技能実習生制度があります。開発途上国の方々に、日本の企業で、母国では習得困難な技能を習得してもらうための制度です。
しかし、ある調査では、受け入れ先の企業の約7割が違法残業、低賃金などの法令違反を犯していたという結果がでました。この他にもこの制度には、多くの問題があります。
一方で、日本の人口減少に伴い企業の人手不足を担っているのも、外国人技能実習生であるというのも事実です。日本政府や受け入れ先の企業の目には、彼等、彼女等がどのように映っているのでしょうか? -
佐久間靖浩
白い流路に立っていてREAD MORE
佐久間靖浩
白い流路に立っていて偶然住み着いた神奈川郊外の街で、擦れ違った若者に声をかけ、ポートレイトを撮り始めた。1991年、バブル崩壊後の日本に生まれた私は、長期経済停滞が続く明るい将来像を描き難い時代に育った人々の揺らぎに強い共感を覚えてた。神奈川と東京の県境には多摩川が流れていた。川を渡る時風景を眺めてた私は、通る度に印象が変わる川の在りように、若者を見続ける事と同質の魅力を感じた。人も川も同じ時間を生きて、生命の揺らぎを持っている。過去|現在、自分|他人、首都|郊外、夢(イメージ)|現。言葉や身体によって隔てられた区域のどちらとも言えない名もない流路で、多摩川の水面で揺れた魚の像のように私達の存在は揺らぎ続けている。
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淵上裕太
PARKREAD MORE
淵上裕太
PARKある画家が朝から日が暮れるまで公園で絵を書いている。自分の , 自画像。とても醜い絵。僕は人間にしか興味がないんだ。人間は、とても醜悪で、とても美しい。公園にはいっぱい人がいるだろ。だから、公園で人を観ながら書くんだ。僕の写真も同じだ。人が怖くてとても興味があった。街を歩き声をかけ写真をとるそこに写る人々は、あなたの自画像かもしれない。
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高橋亘
呼応するまなざしREAD MORE
高橋亘
呼応するまなざし「多様性」という言葉を口にするたびに、耳にするたびに、自分にはその覚悟があるのかと問われている。頭ではわかっているつもりでいても、偶然にも出逢ってしまった目の前の他者に対して、どう身体が反応し、どう言葉をかわすのか。その他者と出逢うことによって輪郭を表す自分の中の他者としての自分自身とどう向き合うのか。そこでは意識の外側で内面化され、カテゴライズされた属性など、なんの意味もなさない。綺麗事では、まるで立ち向かえない。関わりを持ち、諦めず身体化し続ける営みの一部が写真と向き合うことだ。境界を意識しながら、強靭で柔軟なまなざしを持ち、未知の世界を受け入れるために。
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林詩硯
Self In Glass -
菱田雄介
NISHIYODO-STANREAD MORE
菱田雄介
NISHIYODO-STAN大阪の中心地から電車で15分。川沿いの住宅地からアザーンが聞こえてくる。かつて中東で聞いたのと同じその調べに誘われてビルに入ると、男たちがメッカに向けて祈りを捧げはじめる。日本の住宅地であることを忘れさせるかのような引き締まった空気。偶像崇拝は許されず、街を紹介する日本の新聞記事も、顔の一つ一つがシールで覆われていた。
大阪市西淀川区にあるこの街は、いつの頃からかニシヨドスタンと呼ばれるようになった。ヒゲを生やした男たちの前を、コンビニの袋を下げた主婦たちが通り過ぎる。
この光景は、日本のどんな未来と繋がっているのだろうか。今世紀半ば、ムスリムの数は仏教、キリスト教を超えるとされている。 -
奥村悠
MIGRATORY BIRDSREAD MORE
奥村悠
MIGRATORY BIRDSMIGRATORY BIRDSとは渡り鳥たちです。私は学生時代に東京で過ごし、一般的な大学に通いました。何十社も面接を受け、やっとの思いで入社した会社を2、3年で辞めていく先輩たちや、通学する電車の中で見る多くの生気のない顔、仲間のレールに乗った人生を観る中で、生き方これだけじゃないだろうと感じ、全国の季節労働者とともに、まるで渡鳥のように季節労働者をしながら彼らの写真を撮り続けていました。彼らとともに過ごす中でどんなことをしていても強く生きられるということ。生き方は選べるということ。自然の中に身を置いたときに何を感じるかを大切にしながら彼らとの時間を過ごしました。
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池浦孝憲
KyokoREAD MORE
池浦孝憲
Kyoko94回目の誕生日を迎えた祖母。最近また一段と美しくなった。
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髙橋こうた
80°05′READ MORE
髙橋こうた
80°05′1912年、犬ゾリで南極点を目指したものの南緯80度05分の地点で勇退した日本人探検家・白瀬矗。そしてその地点から人類未踏のルートを開拓し、単独徒歩で南極点到達を目指す日本人冒険家・阿部雅龍。約100年の時を越えて受け継がれる意志。彼らは一体何に突き動かされて冒険に出るのだろうか。
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道先潤
In The Mornings And One MorningREAD MORE
道先潤
In The Mornings And One Morningなんて事はない、繰り返される朝なのだろ。しかし、私にとっては新鮮で魅力的な時間だった。カズキと布団を並べて寝ていたはずなのに、カズキは着替えを終えていた。レイナはギリギリまで録画していたドラマを見ていた。リョウは帽子をかぶって学校へ行った。彼らはきっと恥ずかしかったと思う。でもありがとう。
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ドロシ・ノヴァク
The silence in-betweenREAD MORE
ドロシ・ノヴァク
The silence in-between私は日本の田舎に家族と共に暮らすフランス人です。パンデミック前は、国際結婚をして故郷から、そして家族や友人から遠く離れて暮らしても、時々彼らに会えるのだから大丈夫だと思っていました。2020年になり、私が置かれている状況は苦しみに変わりました。「The silence in-between」は、スローライフと、私と2歳の娘が愛する人々――日本がコロナによる入国規制をする前までは来日できた人たちや他県に住んでいる人たち――と再び会えるようになる日を待ち望んでいる時間についての作品です。
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田野
楽しい人間観察READ MORE
田野
楽しい人間観察3年前に中国から日本に来ました。毎日、日本語学校に通っており、日本人の友達がいなかったし、日本語で話す勇気もありませんでした。目指していた写真の専門学校に入学し、自分の生活スタイルを変えようと思い、福岡の天神で知らない人にお話しかけて、撮影許可をもらった上で、知らない人の写真を撮りはじめました。被写体の方とlineで繋がり写真を見せたことで友達となりました。知らない人を撮影しながら、この町のことも知ることができて良かったと思います。
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秋田純子
Youth in PandemicREAD MORE
秋田純子
Youth in Pandemic新型コロナウィルスのパンデミックによって取り残された若者たちをテーマにした、現在制作中のポートレイトシリーズからの一枚。この1年間ほど14歳になる息子の社会的・心理状態を側で見ていて、このシリーズを作ることにしました。コロナによって環境が変わったことが若者の心理に深刻な影響を及ぼし、ストレス、不安、鬱などを抱えているというレポートがあります。本作では、息子や彼の友人、従兄弟、息子と同年代のティーンエージャーたちがパンデミックの中でどう過ごしているのかをポートレイトとインタビューを通じて調査しています。
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柏田テツヲ
1 roomREAD MORE
柏田テツヲ
1 room夢や希望をもって日本にやってきた留学生達。1roomの小さな日本の部屋で彼ら彼女達は何を思うのだろうか。
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李河
風立ちぬREAD MORE
李河
風立ちぬ彼女は自由と自然を愛する人だが、東京の生活は網のように彼女の生活を覆っている。 周りの疲れ果てた日本人と外国人を見ると、私たちの存在は波の中の石のようで、この慌ただしい波に洗い流されている。 私たちが日本の高知県の田野に行って、この疲れた気持ちが緩和された。 私たち人間は苦労して今日に来たが、どうして生きれば生きるほど疲れてしまうのでしょう。 日本は経済が高度に発達している国で、多くの場所が世界をリードしているが、人々の魂は衰えつつある。 もちろん日本だけではない。 多くの場合、東京は私にとって白黒で、私が撮った写真のよう。人間の世界には物質的な力だけでなく、生命の温度もあるべきだと思う。
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柏田テツヲ
MotherREAD MORE
柏田テツヲ
Mother滋賀の田舎に住む母に会えるのは一年に数えられる程になってしまった。小さい時は毎日のように母の横にべったりとくっついていた子どもが今では時間が経ちすっかりと大人になってしまった。滋賀に帰り母に会う度に母が老いてゆくのを感じてしまう。私は母を撮ろうと思った。
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矢寺和成
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矢寺和成
Boyこの1年と少し、新型コロナウイルスにより私たちの日常生活は変化を余儀なくされ、多くの人々が戸惑いや、ダメージを受けました。しかし、子どもたちの世界ではどうでしょうか。少なからず変化はあるものの、その中で彼らは彼らの生活をまっとうしているように感じた、いつもの日常を切り取りました。
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井野口匡
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井野口匡
Probaganda Heroフィールドワーク(調査)として、続けてきた活動を通称、国士文通省と言います。これは、街観察団体として得た知見や手法を、写真を通してSNSに投稿していく活動で、代表的なものとして、顔ハメという政治ポスターや街の広告の前で顔をハメて写真を撮るというセルフポートレイトパフォーマンスがあります。政治を目的とする軽妙なスローガンを、無気力な国民がメッセージを背負うことで、政治に対する不信感と無関心を表現しています。と書きましたが、実際には意図はなく、ただの悪戯として行われているものです。作者自身も、この活動により、たくさんの気づきや意図を思いつくのですが、どれでもないただの遊びというのがしっくりきます。